HANA

日本には、春夏秋冬の四季だけではなく、二十四の節気と、 七十二もの候という季節があります。

 
 
 

立春初候  第10候 春分初候

『雀始めて巣くう』(すずめはじめてすくう) 

 新暦ではおおよそ 3月20日〜3月24日ごろ

雀が枯れ草や毛を集め、巣をつくりはじめるころ。  
瓦の下や屋根のすきまなど、ひょっこり顔をのぞかせます。

 
 

 春分の日を中日に、前後三日を含めた七日間が春のお彼岸です。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言うように、だんだん過ごしやすくなって来ます。

 

   
   
   
              

 暁(あかつき)と曙(あけぼの)

                   

夜が明けようとしているが、まだ暗い時分のことを春暁(しゅんぎょう)といいます。

万葉の時代には、あかときといい、平安以降、あかつきに変わったとか。

曙は暁よりやや時間的に遅れ、夜がほのぼのと明けようとするころのこと。

『春はあけぼの

 やうやうしろくなり、山ぎは少しあかりて、

 紫だちたる雲の細くたなびきたる。』

                  清少納言『枕草子』

   

たんぽぽ

 

 

 

三月〜五月ごろ花を咲かせます。

 

花の形が鼓のように見えるからと

 

「タン、ポン、ポン」となる音が

 

名前の由来になったとか。

 

 

たんぽぽの種子は風に吹かれて遠くまで飛んで、


広い範囲でいのちを、繋いで行きます。

 

 



 
 

  第11候 春分 次候   

『桜始めて開く』(さくらはじめてひらく)     

新暦ではおおよそ 3月25日〜3月29日ごろ

『桜始めて開く』:その春に初めて桜の花が咲くころ。  
     古来、人は桜を愛で、数々の歌を詠んできました。

 
             

 山桜と染井吉野

  

いまやお花見の桜と言えば、染井吉野がほとんどですが、


比較的新しい品種で、江戸時代につくられたものです。



それ以前のさくらといえば、山あいにほんのりと咲く山桜のことでした。


『さまざまの 事おもひ出す 桜かな』  芭蕉


『世の中に 絶えて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし』  業平

   
   
   
   

桜餅と花見団子

 

あんの入った餅を、さくらの葉の塩漬け


で包んでいます。


関東風は小麦粉などの皮であんを巻いた長命寺。


関西はもち米を使った道明寺。


ほのかな、さくらのかおりを楽しみながら

春を感じさせる和菓子です。

 

『三つ食えば 葉三片や桜餅』 虚子


お花見には、花見団子が欠かせません。

 
 

 

 

 


 第12候 『雷乃声を発す』

(かみなりのこえをはっす)

 新暦ではおおよそ 3月30日〜4月3日ごろ

雨に濡れる桜濡れる

春分 末候『雷乃声を発す』:春の訪れを告げる雷が鳴りはじめるころ。  
      恵みの雨を呼ぶ兆しとして、喜ばれたそう。

 

 

              
 春雷
稲妻  

夏に多い雷ですが、春に鳴るものを春雷(しゅんらい)と呼びます。

ほとんどの場合,前線の通過に伴う界雷である。ひょうを降らせて作物に被害を与えるこ

ともあります。

ひと鳴り、ふた鳴りほどでやむ短い雷が多いです。

とくに初めて鳴る春雷を初雷(はつらい)と、あるいは冬ごもりの虫を起こす、

虫出しの雷とも呼びます。

『山の背を ころげ廻りぬ 春の雷』  高浜虚子

雷がおおくなる春から夏にかけての季節は、稲が育っていく時期と重なります。

昔の人は、雷の光が稲を実らせると考えたとか。

稲妻という言葉は、稲の夫(つま)が語源とのこと。

   
   
  木蓮 もくれん  

空へ向けて、手のひらを広げるように咲く様が美しい花。

 

白い花を咲かせる白木蓮(はくもくれん)や、

 

紫の花をつける紫木蓮(しもくれん)があります。

 

 

ハクモクレン

 

シモクレン

 

 

 

 

 

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        * 主な参考文献 講談社 『日本大歳時記』 東邦出版 白井明大 著『日本の七十二候を楽しむ』