HANA

日本には、春夏秋冬の四季だけではなく、二十四の節気と、 七十二もの候という季節があります。

 
 

 第4候 雨水 初候

『土脉潤い起こる』(つちのしょううるおいおこる) 

新暦ではおおよそ2月19日~ 2月23日ごろ

 

 
  雨水初候  『土脉潤い起こる』

 

早春の暖かな雨が降りそそぎ、大地がうるおいめざめるころ。

 

雨水は陰暦正月の中で『滑稽雑談』に「これ正月の中、立春より後十五日頃なり」とある

 

ように、新暦でいえば、二月十八、九日です。

雪が雨に変わる、雪や氷が解けて水となる、という意味から雨水と呼ばれますが、

 

実際に雪が降りやすいのは、立春•雨水の頃です。

まだまだ寒いですが、そこまで春の足音が。そろそろ農耕の準備が始められる頃となります。

 

 
 
 

 藍蒔く


布を深く染める藍。


二月頃に種を蒔き、十七センチぐらいに伸びたころ、

 

苗床から畑に移植します。

 

藍はタデ科の一年草で、日本では最も古く渡来した

 

染料植物で、飛鳥•奈良時代から用いられ、

 

初め近畿地方でおもに栽培されていました。

 

江戸時代中頃から四国の阿波(徳島)が主生産地と成り、

 

現在、徳島県の県花は藍です。

 

     
     

 キャベツ

   

 

春キャベツはふっくらと葉巻きがゆるやかで瑞々しい。

 

サラダや浅漬け、ロールキャベツやお好み焼きなどにも

 

 

『甘藍の 一片をさえ あますなし』  楸邨

 

 
 

 
 
   

 第5候 雨水次候

『霞始めて靆く』(かすみはじめてたなびく)

 新暦ではおおよそ 2月24日〜2月28日ごろ
                           

雨水 次候 『霞始めて靆く』:春霞がたなびき、山野の情景に趣が加わるころ。 
 遠くかすかな眺めが、ほのかに現れては消える移ろいの季節。

 
 

 霞(かすみ)と霧(きり)

    
 

薄ぼんやりとたなびく霞と、目の前に深くたちこめる霧。


春には霞といい、秋には霧と呼び分けます。

 

気象学では視程1km以下のものが霧、それより薄いものが霞。

 

「たちのぼる」は霧には使いますが霞には使わず「たなびく」はその逆です。

 

なんとなく違いはわかっても区別するのが難しいのが霞と霧。

 

そして夜には霞といわず、朧(おぼろ)と。

 

『春霞 たなびきにけり 久方の 月の桂も 花や咲くらむ』

 

                         紀貫之

 
 

  野焼き

春先、晴天で風のない日に、火を放って枯れ草を焼き払う、


野焼き。害虫駆除の目的と灰が植物の成長発育を促進する
肥料にも成ります。

 

奈良の若草山、京都の大原、山口の秋吉台など全国で行われる


春の風物詩。


 
 
 

 
 

 第6候 雨水末候

『草木萌え動く』(そうもくもえうごく)

 新暦ではおおよそ 3月1日〜3月4日ごろ

 

雨水 末候 『草木萌え動く』:しだいにやわらぐ陽光の下で、草木が芽吹き出すころ。 
冬の間に蓄えていた生命の息吹が外へ現れる季節。

 
 
 
 
 菜花 なばな
 

見渡すかぎり菜の花畑が打ちつづいて、春の田畑をいろどる黄色は

 

桃色と共に、最も暖かい、春らしい色です。

 

菜花というのは、春に花の咲く前の蕾みを摘んで食べる種類で葉は

 

やわらかくて緑があざやか。

 

春の訪れを告げる旬の緑黄色野菜です。花開く前のつぼみに含まれ

 

るビタミCや鉄分、カルシュウムなど栄養豊富です。

 

ほろ苦さがからだの免疫力を高め、気持ちも和らげます。

 
 
 
 
 
 
 
 
 

 ひな祭り

 

♪ 灯りをつけましょぼんぼりに‥♪サトウハチローの童謡にも

 

うたわれる女の子の成長を祈るひな祭りは 旧暦三月三日、

 

上巳の節句、桃の節句です。ひな人形の並べ方は、上から

 

一段目はお内裏様(おだいりさま)

 

二段目は三人官女(さんにんかんじゃ)

 

三段目は五人囃子(ごにんばやし)

 

四段目は随臣(ずいしん)

 

五段目は仕丁(じちょう)

 

ひなまつりに食べられる菱餅の桃色には厄払い•健康 

 

白色は団結•団欒緑色は穢れを祓うという意味があるそうです。

 

『ひな祭る 都はづれや 桃の月』

                  蕪村

 

 

 

 

     

 

     

 
 
 
 
 
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        * 主な参考文献 講談社 『日本大歳時記』 東邦出版 白井明大 著『日本の七十二候を楽しむ』